そこに一人の子が生まれた



1980年代初旬、
日本最北の都会が穏やかな季節に移ろうとしていた頃、
私は産まれ、泣き声を上げた。

母30歳は二人目となるその子を、
トラブルが有りながらも、なんとか無事出産する事ができ、
父35歳と安堵感と幸せを噛み締めていたであろう。


父と母の生まれは、さらに北上した田舎の方で、
二人とも就職の関係で都会へ上り、そこで職場結婚となった。

後々聞いた話しだが、 実は父は2回目の結婚であったらしい。。
それを聞いた時は、かなりの衝撃を受けた事を未だ鮮明に覚えている。
他に兄弟がいるのでは? など、よく考え込んだ事もあった。

父は普段陽気だが、
自分の事となると、急にクローズしてしまうタイプで、
真に迫る部分に対しては、子供ながらにも聞きずらかった事を覚えている。
母に聞いても、
「知らな〜い」なんて言葉が返ってくるので、母に聞くのも心が痛かった。

そんな母は、
とても優しく純粋で、父の話になると少し愚痴っぽくはなるが、
"ど真ん中の良い人"という感じである。
今の私の人間性の真域は、この母に育てられたと言って間違いない。
とにかく人を愛せよという考えである。

兄は7歳上で、
私が産まれた時は小学校に通っている頃だった。
よく遊んで貰っては、喧嘩して泣かされていたのを覚えている。
喧嘩といっても、きっと私が一方的に悪く、
怒られているに近い感じであったであろう。

そんな事で、嫌な思い出は一つもなく、歳が離れている事もあるせいか、
全体的にとても良くして貰った記憶となっている。
まだ25歳くらいの兄貴が、
私が自動車免許を取るときに免許代を出してくれたなんて事もあった。







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